第44話 『「俺なんか」「私なんか」が国を亡ぼす?!』
「で、どうだった?」
「う~ん・・・」
「何だよ、反応鈍いな。」
「お相手の方はとても優しそうで知的な方なのですがハナちゃんの方が気乗りしなかったみたいで・・・」
「年齢的にもそう離れてないし優しくて稼ぎも良くて見た目も悪くないんだろ?何が問題なんだよ?」
「何と言うか、彼女は案外自分のことを過小評価してるみたいで『私なんか子供に見えてしまって嫌われる』って言うんですよ。」
「子供たってもうアラサーなのに何言ってやがるんだい。訳わからんわ!」
「そうは言っても自分の中身が子供っぽいって劣等感を本人が抱えている以上私たちには出来ることはないですよ。」
「今どきの女子にしても男子にしても難しいねぇ。折角お膳立てしてもこれじゃあ何度やっても無駄だな。」
「美人だし高学歴だし優しいし文才に溢れているし、勿体なさ過ぎですよ。」
「本当だよ。仕方ねぇ、久しぶりだが夢コーチングでもしてやるか。」
「なんとー!それならなんとかなるかもしれませんね!!」
数日後の夕食どき。
「あー腹減った!!」
「滝田さん一番乗りですね!」
「こんばんわエーコさん、田子作さん!」
「先日は私とハナちゃんがお世話になりました。」
「で、どうですか彼女の反応は?」
「聞いてやってくれよ。『私なんか』とか言って逃げ回ってるんだぜ。」
「どうしてそんななんですかね?美人だし物静かで優しいし頭も抜群に良いのに。」
「だよな?不思議でしょうがないよ。とりあえず今日は彼女にコーチングしてやろうと思うんでフォローよろしくな!」
「あ、大丈夫ですよ。任せてください!」
「こんばんわ。」
「噂をすればなんとやら。今日は早かったな。」
「ワールドカップが終わって仕事が急に暇になったんです。あ、滝田さん、こんばんは。」
「あ、先日はどうも!」
「とりあえず飯でも食いながら話そうか。」
「助かります。今日は朝から何も食べてなくて。」
「なんと私もなのですよハナさん!」
「嘘つけ!お前俺が食おうとしてたカツ丼朝っぱらから平らげただろうが!」
「カツ丼は別腹ですから。('ω')?何か問題でも?」
「どこの世界にカツ丼が別腹の奴が居るんだよ!」
「あはははは、相変わらずですねご両人。」
「ふふふ、夫婦漫才を見てるみたい。」
「ハナちゃんもそろそろ夫婦を夢見ても良い頃だぜ。」
「それがなかなか・・・」
「とりあえずいただきます!!( *´艸`)ムシャムシャ」
「じゃ僕も遠慮なく!」
1時間後。
「もう何も腹に入りません・・・」
「お客じゃないお前が言うなよ。」
「ははは、僕ももう腹パンですねぇ。すき焼きも鍋もカレーも全部旨かったぁ。」
「ハナちゃん、何か飲むかい?」
「いえ、私も水も入らないくらいです。ふぅ~。」
「さて腹も膨れたことだし例のやつやってみるかい?」
「あ、じゃあお願いします。」
「んじゃこのポストイットに今の夢を書き込んで。一つの夢に一枚のポストイットを使用するように。あ、もう一つ重要な決まりがあってさ、すべての夢を達成した後のように『過去形』で書いてほしんだよ。」
「過去形でですか?」
「そう。例えば『素敵な相手と結婚したい!』じゃなくて『素敵な相手と結婚した。』って感じで。初めはちょっと違和感があるけど直ぐに慣れるから。」
「分かりました。」
30分後。
「意外と少ないんだな?本当にこれだけで良いの?」
「うーん、他に思いつかないんです。」
「それじゃあこのポストイットをジャンル別に並び替えてみようか。」
「ジャンル別とは何ですか、田子作主人よ?」
「自分自身の事柄を第一ジャンル、自分の身近な人に関する夢は第2ジャンル、自分が所属するグループ、例えば近所の人たちや職場の人たちに関するモノは第3グループ。自分の住む地方や国、世界に関するモノは第4グループに分けるんだよ。」
「こんな感じですか?」
「そうそう。そしてそれぞれのグループの中のポストイットを優先順位をつけて並び替える。とは言っても優先順位のつけ方がちょっと難しいので俺の出番なんだな。」
数分後。
「はいよ。こんな感じに並び替えると『真っ先に何に取り掛かれば夢への最短コースを行けるのか?』がハッキリ分かるようになるんだな。」