第48話 『非常識な開運法?!』
「それにしても当店のお得意様って・・・」
「濃い人が多いって言いたいんだろ?」
「やはり類が友を呼ぶって本当なのかもですね?」
「特殊な職業だったり日本で数家族しかいない苗字だったり超個性的なキャラだったりな。」
「やっぱ田吾作主人にどこか似てますよ。」
「だな。だから俺は稼ぐ事を諦めたんだよ。」
「どうしてですか?」
「俺に似た人たちは大事にしたいじゃないか。」
「でも稼がないとまだまだ色々とお金が掛かりますよ?」
「だから考えたんだよ。お金が勝手に集まってくれる方法をな。」
「なんとー!!ど、ど、どうやるのですか?!」
「今までの売り上げ管理データをあらゆる角度から集計していたらあることに気が付いたんだ。」
「あること?」
「一見売り上げと直結するとは考えにくい事象が案外相関していたんだな。」
「もうー、焦らさないで早く教えて下さいよぉ!!」
「バカか?こんな重要なことを誰が無料で教えるか!」
「なんとー!私からお金を取るのですか?」
「なんとー!一度も給料を支払ったことがないのにそれすらも渋るのか?!」
「現物支給してるじゃないですか。」
「1週間に1本のウイスキーか焼酎4合瓶のことか?」
「それでも支払ってるじゃないですか。」(-_-)ム~
「約1000円÷(7日×18時間労働)=時給7.9円。俺世界中で一番貧しい国に行っても生きていける自信あるわ。」
「良かったじゃないですか!日頃の鍛錬のおかげですよ!」(*´ω`*)
「嫌味じゃーっ!!」( `ー´)ノゴルァ!
「そうですか。それでは今週末はウイスキーに加えてポテチ一袋を付けましょう!」
「アホかー!誰がそんな子供騙しに引っかかるか!!」
「いつも『自分以外の人が作ったツマミが喰いたい』って溢してるじゃないですか。」
「・・・っち!今回だけだからな!」
「はい!」
「仕方がねぇ。実はな、あまりにも非科学的かつ非常識な相関データーだから俺自身何度も疑ったんだ。」
「ふむふむ。」
「いくつかあるけど笑うなよ絶対!」
「笑いませんよぉ。」(*´ω`*)ニヤニヤ
「既にニヤついてるじゃねぇか!」
「いいから早く!」
「まず1つ目の指標は『掃除』だ。」
「そうじって掃除のことですか?」
「お前が早朝にこのビルの前の道路を竹箒で掃き掃除した日は不思議と売り上げが良いんだ。」
「本当ですか?」
「神道では掃除は結界を張り邪悪なものを寄せ付けない行為らしいがそれ以上に不思議と売り上げまでよくなるんだ。」
「ふぅん。」
「なんだよ。だから言ったろ?俺自身何回も疑ったって!」
「まあいいです。で、他には?」
「風呂だ。」
「え?」
「お前は毎日朝晩入ってるから気が付かなかったかもしれんが俺は忙しいと2日ごとにしか入れない日があるんだよ。だから気が付いたんだが俺が風呂に入った日にはどんなに売り上げが悪くても誰かが不意に現れて高額商品の注文をくれるんだよ。」
「本当ですか?!」
「面倒臭ぇな。何度も言わせるなよ。俺が一番信じてなかったんだから。」
「分かりましたよぉ。それだけですか?」
「いや、ここからがもっと常識を外れてるんだが・・・」
「何ですかぁ?」
「あー、もうあんまり信じてないな!!」
「そーんな事は無いですけどぉ~」
「気に障る言い方だな。他にもいくつも発見したけど今日はここまでだな。」
「じゃあポテチも小袋ですね。」
「・・・っち。」
「言いたいのでしょう本当は。」
「バカ野郎、俺はポテチを腹一杯食いたいだけだ!」
「田吾作主人よ、今年であなたは51歳になるのですよ?」
「それがどうした?喰いたいものは喰いたいんだ。」
「分かりました、そういうことにしておきましょう。」
「でな、これが一番信じがたいんだが、『財布やお金を温める』とお客さんが次々とやって来るんだよ。」
「要するに店の前を掃除してお風呂に毎日入って財布を温めれば売り上げは勝手に上がると?」
「店の前だけじゃない。トイレとキッチン、それに客席もだ。」
「全部じゃないですか。」
「当たり前だ。まともな企業ならどこでも『5S活動』てのを社員に教育してるんだが俺が発見した法則はそれ以上だな。」
「まだ他にも何か言いたいのですか?」
「俺にもう少しお酒を飲ませると営業マンとして上得意様を連れてくるという法則はどうだ?」
「なるほど、それが言いたかった訳ですね?」
「別にそーゆー訳じゃないけど実際に友達のクラフトビール工場で知り合った人が何人も来ただろ?」
「一度こっきりですけどね。」
「それでもビール代金の何倍も売り上げが立ってるだろうが。」
「要は実質的な賃上げ交渉ですね?」
「賃金支払ってから言えよ。お小遣い交渉くらいだろうが。」
「考えときましょう。それより今朝はまだ神社にお参りしてないですよ。」
「おっと、忘れるところだった。いけねいけね。」
「てか、全てはお参りの効果では?」
「それを言っちゃあお終いよ。」
「ちゃんちゃん。」"(-""-)"