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第5話 『大分特産カマガリのフライ』

カマガリとカマスのフライ フルーツタルタル
大分県はかつての県知事のもと『一村一品運動』という取り組みが活発だった。
その成果については賛否両論あるようだ。
ただ『尖った優良作物』が少量多品種あるおかげでインターネットで青果店を展開する当店にとっては大助かりではある。

これは農産物に限らず、水産畜産物においても似たような『尖った優良品』が多い気がする。
もちろん関係者の甚大なる努力の賜物であることは疑いの余地はない。

さて昨夜のディナーはそんな『尖った大分の特産品』で振る舞われた。

まずは山盛りのフルーツミックスサラダから。
8年の研究を重ねようやく市場に出回るようになった特別なイチゴ『ベリーツ』をふんだんに使用したミックスサラダである。
むろんドレッシングは自家製で、マスタードを利かせたシーザードレッシング。
大抵のお客は見た目と美味しさに大満足する。

次に自家製パンチェッタとレモンと日向夏のパスタ。
初夏の季節にふさわしい大分県産の無農薬レモンを12月から大事に貯蔵しておいて特別なお客様の料理に使っている。
一切農薬を使用しないので安心して皮まで入れている。
時折口中にレモンの皮の苦みが程よい刺激を与えてくれる。

さらに料理のお供は、最近府内町にできたエールビールの醸造所『monkeymounten(モンキーマウンテン)』のレッドエール。
オーナーはアメリカ人男性で、自分が日本の干支では申年であり、大分にはサル山で全国的に有名な高崎山があることからこの社名にしたのだとか。
ラガービールと違い酵母が生きているのでラガービールしか知らない人には衝撃が走るようだ。
香りといい味わいといい実に旨い。
そんな訳ですっかり私も虜になってしまい飲み放題コース(別途1000円)の最初の1杯目にウェルカムドリンクとして提供することにした。

そしてお次が本日の一押し料理。
『カマガリのフライ フルーツタルタル』
カマガリという魚は大分県でしか水揚げされない特殊な魚種である。
見た目は、大きな口と目玉にぎらぎら光る鱗、デップリした体型から正直そんなに旨そうには見えない。
だが3枚におろした身を一口大にカットしたフライは格別なのだ。
皮は厚いため刺身の際には剥がすのだが、フライとなると話は別だ。
この皮と身の間に旨味がぎゅっと凝縮されてとにかく旨い!!
だが若干の泥臭さも残る場合があるので当店ではフルーツタルタルを掛けて召し上がってもらう。

旬のフルーツを小さくカットし、マヨネーズや白出汁にピクルスなどを混ぜて作るタルタルソースに一緒に入れる。
今の時期なら柑橘類の「はるみ」やもう少し酸味が欲しければ「紅甘夏」を使う。
これが好評で2年前の営業開始から一度も残す人は居なかったほどである。
カマガリは別名「くろいしもち」と呼ばれ、全国的には同じ仲間の魚類で「白石持(しろいしもち)」が流通している。
しかし身の柔らかさや旨味は圧倒的にカマガリに軍配が上がるようだ。

この後も国籍無視の創作料理が続き宴会の盛り上がりは最高潮に達したことは想像に難く無かろう。

大分県にはまだまだ沢山のあまり知られていない凄い物や場所がある。
なので大都市圏で生活する大分県出身者諸君には大分県出身者であることを隠さず堂々として頂きたいと願うのである。

最近は大分出身の有名人も沢山出てきたのでそんな心配も不要なのかもしれないが。

最後に一言でまとめるならば

「大分県人よ、カマガリとともにフライ(飛翔)しようぜ!!」ということだろうか。

結局親父ギャグが言いたいがためにここまでお付き合い頂いてしまったことに少々心苦しさを感じつつも本日はこれにて。