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第6話 『一網打尽?』

その昔、大分には河童が居た。
それも1匹2匹と云ったものではなく、数万、或いは数十万単位だったはずである。

「俺の子供時代は毎日川や海に繰り出しては泳いだり潜ったりして日が暮れるまで遊んだもんだけどな。」
『河童』とはこういった児童の総称である。

やがて日本では高度経済成長と共に公共施設だけでなく民間施設のプールが街中にもでき、『河童』はそれらの活況と共に街中にも多数出現するようになった。
「私達の時はもっぱらプールでしたね。」

さらに時代は下がり、高学歴社会へ突入したこの国では塾通いする児童が急増し、いつしか水辺の遊びから児童たちは遠のいていった。
やがてインターネット全盛期を迎え、ここに来て意外にも『巨大な海』が出現した。
それは『情報の波』に乗ってやってきた。
いわゆる『高度情報化社会』と言われる情報の海である。

すると不思議なことにまた大量の『河童』が世界中で出現するようになったのである。
今度は河川やプールではなく、『網(ネット)の中』にであった。

時代はめまぐるしく変化しても人類の心の奥底に眠る『水もの』への好奇心は相当な物なのかもしれない。
そればかりか、散々水遊びをして疲れた『子供たち』はきっちりお腹を空かせて帰路に着くのも何ら昔と変わりはない。
そう、母が作る健康的で美味しい料理に舌鼓を打った後、『水遊び』で疲れた体はやがて深い眠りへと落ちてゆく。

だが最近ではそんな母親たちも『水遊び』や仕事で疲れてしまい昔のように手料理を作る暇も体力も残らなくなったそうである。

「そんな時こそ当店があるじゃないですか!旬の青果や鮮魚にお肉をふんだんに使用し、毎日食べ続けられる価格でご提供する『洗濯船弁当』が。」

「もしかしてこれって・・・?」

「宣伝だ、バカヤロー!」( `ー´)ノ

「一体誰の物まねですか?!」(*´з`)チャンチャン