第15話 『さくらんぼ銀河へようこそ!』
「うわー、今年は表年だぁ!!」
祖父の無農薬農園のサクランボの木に鈴なりの果実を見て歓喜する妻。
「でも収穫するとなると腕が疲れるだろうな・・・」
徐々に日中の気温も上がる中での作業に少しゲンナリする田子作。
「早よ取ってしまわんとヒヨドリにみんな食われてしまうぞ。」
妻の祖父が作業を急かす。
「2、3日前まではまだ青いのが多かったのにもうこんなに完熟してる!」
「旨い!!こんなに甘くなるものなのか?」
「下から見上げると夜空の星々みたい。」
柄にもなくロマンチックなことを言う妻エーコ。
「さくらんぼ銀河ってところか。」
「全部食べ切れるかなぁ?」
すぐに現実に戻る妻エーコ。
「は?これは全部ディナーのデザートにするんじゃないのか?」
「え?食べないんですか?」
「いやいやいや、ヒュウガトウキにしろサクランボにしろ希少価値の高いものはそれなりの価値の分かるお客様にお出しするのが筋じゃないか?」
「私も価値が分かるから食べても良いはず!」
言うが早いか近くの枝から鷲掴みにサクランボをむしり取り一気に口に運ぶ妻エーコ。
「あ!何してんだよ!じゃあ俺も!」
大人げなく真似をする田子作。
余りの美味しさに無心に食べ続ける夫婦。
結局収穫できたのは2kg弱。
と云う訳でディナーのお客様の最後のデザートに使用いたしますが全部で40名様分のみとなりました。
ディナーはお一人3000円以上、総額2万円以上でお受けしております。
この他にも『神の草』と呼ばれているヒュウガトウキも(爺ちゃんが)栽培に成功しましたのでお茶としてご提供いたします。
ご予約はお早目にお願いいたします。
「はっ!これはもしかして?」
「うん、宣伝だな!」
ご予約お待ちしております!(*'▽')ノ