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第7話 『ジシン家?』

「な?言った通りだろ?」
自信満々で自分の仮説を披露する田子作主人。

「本当ですね!ある意味凄いです!」
深く共感する私。

「あんま嬉しくないですけどね僕は。」
元『ヤバイ目つき』の彼はあまり楽しくない様子。

「その特殊能力何かに使えないかなぁ。もったいねぇなぁ。」

西田原(サイタバル)(仮名)と名乗るその青年が当店に通い始めてかれこれ3か月が経過した。
当初はどこか怯えたような表情をしたり、かと思えばやけに目を爛々と輝かせたりしていた彼も田子作主人と話をするうちにすっかり打ち解けたのか今では面白く無いくらい普通の青年に戻っている。

「でも今までその能力に気が付かなかったんですか?」
30歳は超えていると思われる彼がこれまでの人生で自分の特殊能力に気が付かずに生きてきたことが不思議で仕方がなかった。

「いや全く。田子作さんに言われて『本当かなぁ?』って疑ってたくらいですから。」
顔の前のハエを追い払うように手を左右させて全面的に否定する。

「今のところほぼ100発100中だもんな。」
彼には特殊能力と言うか特殊体質が備わっていた。
彼が機嫌が悪くなったり体調が悪くなると決まって数日中に地震が起きるのだ
それも近ければ近いほどその症状はひどくなる。
昨日もあまりに気分が悪かったために病院へ行って薬を貰ってきたそうだ。

そして今日。
日向灘沖で一日に4回も地震が続いた。
彼のそんな能力に先に気が付いたのは田子作主人だった。

「電磁波が脳に溜まっているんです。もうここは磁石ですよ。」と自分の頭を指さす西田原(仮名)氏。
気分のむらが大きく不安定な彼の話を聞いてるうちにあることを思い出した田子作主人。

「そういえば動物には地震を予知する能力があるが人間にもその能力が残ったままの人がいるって何かで読んだぞ。今自分の脳みそを指して磁石だって言ったよな?もしかしたら地磁気を感知する細胞がまだ脳内に残ってるんじゃないか?」
その翌日、南米ペルーで大きな地震が発生。
その後も同じくペルー地震の前日も不機嫌そのものだったし、先週末くらいから徐々にイライラし始めて昨日にはパプアニューギニア。
止めは宮崎県沖の今日の地震。

「認めたくないですけど確かに地震が終わると体調も良くなるんですよ。」

「今は12時過ぎだけどどうだ体調は?」

「まだ良くないですね。」

「じゃあまだ来るかもですね。」
その後13時過ぎにもう一度地震があった。

それから数時間後。
「ちょっと早いんだけど夜弁当作ったから取りに来てもらってもいいかな?」
彼は毎日昼と夜の弁当を購入してくれる常連さん。
本日は夜ピザの予約が多数入っていたので弁当は早目に完成させていた。

「あ、いいですよ。」
家が近いらしく電話すると数分ほどで来店する。

「ちなみに今の気分は?」
田子作主人が少し冗談交じりに聞いた。

「あ、良いですよ。すっきりしました。」
確かに顔から苦痛の表情が消えている。

「ある意味『地震家』ですね。」
一同は私のダジャレでどっと笑った。

『何かの役に立つ日が来ると良いですね、この体質。』

続く・・・